ルヴァンリキッドの作り方 基本的な考え方と特徴

レシピ

ルヴァンリキッドという言葉、あまり聞き慣れないかもしれません。ルヴァンというのはフランス語で発酵種の事を指します。リキッド=液体、なので液状の発酵種という事です。こちらも当然ですが天然酵母(自家製酵母種)の一種と言えます。近年のフランスで昔ながらのルヴァンを使ったパン作りが見直され一気にルヴァンを使ったパン作りが台頭してきました。フランスではバゲットに関してはもちろん、天然酵母パンの定義に関しても厳しい規定もあります。こうしたらバゲットとは呼べない、○%はルヴァンを使いなさいと言った感じですね。日本のビールに関する定義と同じような感じです。

今回の記事ではルヴァンリキッドの起こし方、使い道、特徴を書いていき、幅広く使える事を皆様に知ってもらえたらと思います。

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ルヴァンリキッドの作り方

1日目 元種作り

・ライ麦粉 100g (目の細かいもの)

・モルト 2g

・お湯(40℃)120g

ボールにすべて混ぜ入れ、均一に混ざったらラップをして常温(27℃くらい)で1日置きます。

2日目 第一酵母

・元種全部 (222g)

・小麦粉 200g (準強力粉推奨)

・お湯 200g

こちらも1日目同様均一に混ぜラップをして常温で1日置きます。

3日目 第二酵母

・第一酵母全部 (622g)

・小麦粉 620g

・お湯 620g

さて量が多くなってきました。こちらも同様に均一に混ぜラップして常温でいいんですが1日放置ではなく何度か全体を混ぜ合わせる工程を入れてください。(4、5時間に一度全体に新しい空気を吸わせるような感じで)この間寝てはダメというわけでは無いです笑 そこは6時間とか放置して起きてから混ぜてあげてください。

4日目 最終酵母

第二酵母全部 (1862g)

小麦 1820g

お湯 1820g

最後です。混ぜ合わせたら12時間常温放置した後、全体を混ぜ冷蔵庫に移します。(野菜室がいいと思います)冷蔵庫に移して12時間たったら使用可能になります!

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とまあ字面にするとかなり面倒くさく感じてしまいますね。なのでわかりやすく言うと、始めだけ元種作ったら後はその種と同量の粉、お湯を毎日混ぜていくんです。

最終的に雪だるま式に量がかなり多くなっていますが、これは種の量を減らしてあげてその量に合わせて計っていけば調整出来ます。上記を例にすると3日目に種を混ぜる時、622g全部使うのではなくこの内100gだけ使うなどして調整しましょう。

家庭で作るのは結構手間かもしれませんが一度作ったら後はうなぎのタレのように使っては継ぎ足ししていけます。

例えば作ったルヴァンリキッド が全部で300gあったとしたらそのうち200gを使って残りの100gでまた継ぎ足して明日以降使っていくイメージです。

継ぎ足し方法

ルヴァンリキッド 100g

小麦粉 200g

お湯 240g

先に粉以外をすべて混ぜ合わせ後から粉を入れ均一に混ぜ合わせる。30℃で4時間置きます。この間数回全体を混ぜ空気を入れてあげるようにしましょう。4時間経ったら冷蔵庫で保管します。冷蔵庫に入れたら2、3日は継ぎ足ししなくても使えますが1日2回程度は全体を混ぜてあげましょう。(基本毎日継ぎ足しした方が活性化します)

実際どうやって使うの??

完成したルヴァンリキッドは白色をしていて粘度がありゴムベラですくうとダラダラと垂れてくる状態になります。そして舐めてみると酸味がありヨーグルトのような後味がすると思います。ただ勿論気温によって、冷やしかたによってかなり状態が変わるのも事実です。極度に酸味があったり、舌に痺れるような苦味があったりする場合があります。これに関しては隣にいて味見ができればアドバイスできるのですが、文字や動画があったとしても伝えるのは中々難しいです・・・

パンにした時酸味がキツく感じられるようであれば発酵が進みすぎている可能性が高いので種継するときに種の量を少し減らす、もしくは最初の発酵時間を短めに取る。(4時間のところを2時間にするなど)また、苦味がある場合、痺れを感じるような場合は発酵が足りていないので発酵時間を多めに取ってから冷蔵に移すなどしましょう。

実際に使用する時の配合量ですが10%〜20%の間で使用しましょう。この際約半分は水分なので吸水を減らす事を忘れずにしてください。

また注意点としてはこのルヴァンリキッド は風味や、味の向上を狙ったもので発酵力に特化した自家製酵母ではありませんのでこれだけを使って生地を発酵させるのはかなり大変です。他の酵母との併用をお勧めします。作るパンや製法によって酵母の量は一概にこのくらいとは言えないのですがストレート法で食パンや菓子パン、ロールパンを作るならインスタントドライイースト0.5%、ルヴァンリキッド10%くらいでイイと思います。オーバナイト法でフランスパンを作るならインスタントドライイースト0.2%か0.3%でルヴァンリキッドは15%でイイ感じになると思います。ここに書いてあることに固執しなくても今みなさんが使っているレシピにルヴァンリキッド入れ水分量を調整するだけで、正直十分美味しくなります。

何故味わい深くなるのか?

今回紹介している小麦由来の自然発酵種は小麦と温水を放置してこの中に存在する様々な微生物の乳酸発酵を利用しています。少しずつ小麦と温水を追加することで乳酸や他の酸を作り出し、大部分の細菌を酸により消滅させ、酸に耐性のある酵母だけを増殖させ、やがて酵母菌と乳酸菌が主体のルヴァンリキッド になるのです。最初できたものを舐めると酸っぱくて本当に使っても大丈夫だろうかと心配になりますが、ルヴァンリキッド のPHは3.7前後なのでカビ、雑菌は繁殖しづらい環境になっていますので問題ありません。

ルヴァンリキッドを使用すると乳酸菌、酵素の働きによって熟成が進む他、水和もされているのでイーストだけで作ったパンに比べ芳醇な風味、複雑な味わいが生まれます。

レシピの一例

【フランスパン】

フランスパン専用粉 100%

インスタントドライイースト 0.1% (生イーストの場合0.3%)

塩 2.1%

ルヴァンリキッド 15%

水 67%

粉と水を混ぜ合わせ粉気が無くなったら30分置く

残りの材料を加えミキシングしていく。L8M6

手で捏ねる場合は台に擦り付けるように生地を作っていき十分グルテンが絡み合ったところで最後に少しだけ台に叩きつけるやり方をする。最終目安は薄い膜ができるようになるところまで。

捏ね上げ温度 24℃

フロアタイム 60分パンチ60分

分割重量 300g

ベンチタイム 40分

成形 45cmの棒状(ここは自由)

ホイロ 30分

冷蔵(5℃)20分

焼成 250℃ 20分 スチーム有り

家庭でやる場合粉300gで計量していけば2本分取れますので十分かと思います。(単純に上の配合を×3した量です。%無視してください)

今回のレシピではストレート法でのフランスパンの紹介をしましたが勿論オーバーナイト法の方がより旨味は出てきます。いきなりオーバーナイト法のやり方を書いてしまうと混乱すると思うのでまずはこれからと言うことで・・・

あくまでも一例ですのでそこは悪しからずお願いいたします。人によっては普通に作った方が美味しいと言う人も当然いると思います。今回は少しでも難しそうなテーマを身近に感じてもらいたく書きました。またルヴァンリキッドを使用したレシピをあげていけたらと思います!

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