フランスパンはしっかりと捏ねてください!!!!!????????

レシピ

フランスパンという言い方があまり好きで無い、どうも私です。さて今回はタイトル通りですが非常に挑戦的な内容となっております。

なぜかって??

パンの専門学校、あるいはパンのブログ、パンの専門書を見てみると大抵こういう風に書かれています。

『フランスパン、ハードパンは決して捏ねすぎてはいけない』

・・・

・・・

・・・

私もそういう風に教わりました。そしてそれがいつの間にか常識となりパン作りをしていました。本日の記事の内容はそんな常識に一石を投じるであろう内容です!!

※今回の記事は決して特定の何かを批判・否定するものではありませんのでご了承ください。

それではレッツドン!!

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バゲットを作る難しさ

パン作りをされている方でバゲットにまだ手を出せていない方は多いのでは無いでしょうか?

なぜか??

難しそう・・・

だってシンプルな材料で、見極めが大事でパン作りの中でも素人は手を出すなって言われてるし・・・

なんかパンチで繋ぐとか、長時間なんちゃらで風味がどうのこうので、熟成が・・・

パン作りを始めると一度はこれに近しい感情を持ったり聞いたりしたことがあるのでは無いでしょうか?

そうなんです、パン作りでもフランスパンいわゆるバゲットはとても神格化しています笑

故に

・材料をこだわり

・生地をいたわり

・技術を磨き

パン職人は切磋琢磨しているわけです。

いざバゲットを作ろうと思うと最初にぶち当たる壁が仕込み!ミキシングです。

なぜなら食パンや菓子パン、惣菜パンの記事の捏ね方と全く違うからです。

その理由としては

・生地にダメージを与えない様に最小限の捏ねにする

・捏ねすぎると生地が多くの空気を取り込み酸化が進み風味がなくなる

・内相が詰まってしまい独特の気泡が得られない

と教わります。

ミキシングでパンの出来はほぼ決まると言っても過言では無いので確かにこれはハードル高そうです・・・

これに加えて製法も多種多様なものが存在するのも頭を悩ませるところであり、めちゃくちゃ面白い点でもあります。

ストレート法、ポーリッシュ法、オーバーナイト法

どれを選択するかで味わいが全く異なります。

Uchiバゲット レシピ

さて上記のことを踏まえてタイトルに挑戦していきます!!

配合

フランパン専用粉 95%  (今回はFナポレオン使用)

ライ麦粉 2.5%   (今回はアーレミッテル使用)

小麦全粒粉 2.5%  (今回は粗挽き使用)

塩 2.2%

生イースト 0.3%

ルヴァンリキッド 15%

水 74%

工程

オートリーズ 粉と水のみL3 30分

ミキシング L5M 15

捏上温度 23℃

フロアタイム 90分パンチ60分

分割 350g

ベンチタイム 40分

成形 48cmバゲット成形

ホイロ 28℃ 80% 30分 →5℃の冷蔵庫で20分

焼成 260℃/ 240℃ 25分 スチーム有り

解説 〜配合〜

レシピを見ていただいてわかる方はわかると思いますが、嘘でしょ??笑 となっていると思います。

一つずつ解説いきます。

まずは配合面

今回のチャレンジはミキシングをかけしっかりとかけるのでそこで起こるであろうデメリットをカバーしようと考えました。

具体的にはライ麦粉、小麦全粒粉を入れることでパンの風味アップを狙い、いい意味での癖を出そうというのが目的です。さらにライ麦粉を配合することによって焼き上がり後のクラストの食感が良くなる(セットする)ので採用しました。

また製法がストレート法になるので少しでも熟成による風味を付与したくルヴァンリキッド を採用。これによってパン自体のコク、食べた後の風味を感じる仕上がりを目指します。

イーストは即効性のある生イーストを使用、ドライでも行けますがさらに時間がかかるでしょう。(その分風味は良くなります)多すぎると発酵が加速し酸化が進むので最低限の量にしました。

水は最初70%で行ったのですがまだ入りそうなので4%バシナージュ しました。

モルト、ビタミンC・・・いりません!ノーサンキュー!

なぜかって?いらないもの入れてもしょうがないでしょ?

塩の量はめちゃくちゃ悩みました・・・ある程度入れないとボケた味になるので私は2.1%から2.3%くらいをいつも行ったり来たりしてますが今回は間をとって2.2%。塩の配合量によって内相も変わりますからここは意外と重要かもしれません。

解説 〜工程〜

さあさあ来ました。

ミキシングですがオートリーズはもはや必須かなと思います。このレシピにおいてもマストですね。理由は捏ね上がった後の生地の伸展生が良いためです。オートリーズに関しては粉が少し残る程度に納めたほうがいい、いやいやしっかりと混ざるまで練るという意見を聞きますが私は後者です。しっかりと水和させてあげましょう。

オートリーズ終了後の生地

オートリーズが終了したらいよいよ本捏ねです。

L5・・ふんふん、これは普通ですなぁ。

M 15・・・

・・・

15!!!!???

ここが今回のキモですよね!通常のバゲットミキシングにおいてトータルで20分捏ねるというのはあまり見かけません。私は見たことがありません。せいぜい10分、短い人だと5、6分くらいですか?理由は最初にも挙げた通り、ミキシングをかけすぎることで中が詰まって食感が悪くなったり風味が飛ぶからです。

ということは今回の私のチャレンジ、結果はどうなるでしょうか?

ミキシング終了後の生地

捏ね上げ後しっかりとグルテン膜ができているのが確認できます。片手で写真撮るのが難しすぎました笑

フロアタイム終了後、分割前の生地終点温度は24.5℃

分割重量、ベンチタイム は特に変わったことはないと思います。

これからベンチタイム

成形ですが通常のバゲット成形だと大きなガスが出ている場合がありますがこの生地の場合、ほぼそんなことはないと思いますのでバンバン叩く必要はありません。生地をやさしく成形していきます。

ホイロを取ってこれから冷蔵に移す所

ホイロは20分から30分でOKです。見極めるポイントとしては触った時にガスを含む弾力が感じられたらなんですが、正直文字で表現するのは難しいですね・・・

その後の冷蔵、これはクープを入れやすくするためです。

あと、写真を見て気づいた方がいるかもしれませんが成形後閉じ目は上にしてキャンバスに乗せます。冷蔵工程を踏むときに表面が乾いてクープが入りずらくなったらもとも子もありませんので・・・

焼成は高温で一気に生地を持ち上げます。今回は焼成前にちょっと色気を出して飾り粉しちゃいました。。。

結果

焼き上がり直後のバゲット

さて、というわけでいよいよ結果ですが・・・どうでしょう?

うーん、個人的な技術不足が目立つ一枚となってしまいましたかね・・一投目が手前なんだよなあ・・・

まあ個人的な反省はさておき。

クープの立ち、色、ボリュームは悪くありません。

そして

緊張の内相

こちらも個人的な反省がありますな。大体同じところがやや詰まり気味になっているので成形の癖でしょう。直さなアカン。。。

とはいえそこまで悪いものではないです。大小ボコボコとした気泡もありますし端までしっかり気泡もあります。

食べてみると軽い口当たりにもっちりとしたクラム。食べた後は穀物のいい風味が追ってきます。コクもあり、ついついまた手が伸びてしまう。そんな美味しさでした。上司にも食べてもらい味の判定をしてもらいましたが「うまい!!」の評価いただきました。ちなみにこの上司は世界を制したことのある超一流の方なので味に関してはめちゃくちゃシビアです・・・

バゲットの仕上がりが良かったことより上司にうまいと言わせることが出来たのが嬉しかったです笑

ポイント

今回のレシピのポイントはミキシングの長さではないんです。重要なのは生地の硬さです!!

生地の硬さで工程が決まります。

ミキシングをかけるとどうなるか?→力がつく→伸びにくい→成形すると内相のガスが潰れる→結果どんづまったバゲット

これはかなりざっくりした流れですが、これを解消するために吸水率を増やし、グルテン膜をしっかり作りガスを保持する条件を整えました。

水風船と水枕のゴムを思い浮かべてください。どちらが膨らみやすいですか?圧倒的に水風船ですよね?

ゴムが薄いから伸びが良い、しかし割れやすいというデメリットもあります。なのでそこはパンチを打って調整したりあまり長時間発酵させない様にしてコントロールするわけです。

もしオーバーナイト法で作る場合はミキシング を少し落として、イースト量をちょっと増やしてといった具合に調整します。

生地の硬さとミキシングの関係性

これはかなり重要です!!

まとめ

といことで結果的には成功と言えるのではないでしょうか?

初めに書いた通り、私がなぜ今回の様なチャレンジをしたかというと

常識にとらわれないでね!!

これが言いたいんです。

パン作りのゴールというのはその人がどんなパンを作りたいかなので、あってる or 間違っているというのは基準軸が違います。もちろん基礎的な考え方はありますが、ハードパンだからミキシングはかけすぎてはいけない!フランスパンだから捏ねすぎたら劣悪になる!と決めつけるのはよくないです。これからのパン業界が発展していくために、また若き職人たちにクリエイティブな発想を持ってもらうためにいろいろな角度から物事を見れる様にしましょう。

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