パンの色々な製法

製法

パン作りには色々なやり方があります。例えばローストビーフを作るとき真空パックに入れて低温で作るやり方もあればフライパンで熱を入れて湯煎するやり方もありますよね?そんな感じでゴールにたどり着くまでにどんなコースを行くかで特徴の出方が変わります。

本日は代表的な製法を何となくでも理解して自分の理想のパンに近づけましょう!!

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どんな製法があるの?

  • ストレート法
  • 中種法
  • オーバーナイト法
  • ポーリッシュ法
  • 湯種法

上記の他にも酒種法や老麺法、ルヴァン法サワードウ法等、いくつもの製法がありますが、今回は上記に書いた5つの製法を取り上げたいと思います。

ストレート法

読んで字のごとく仕込みから焼成まで一連の流れで行う製法です。今から仕込むとしたら焼き上がるのは4時間後くらいでしょうか?ご家庭でパン作りを体験したことある人はほとんどがこの製法だと思います。なのでパン作りのイメージもすごく時間がかかる=大変そう・・・というイメージになってるのかなと個人的には思います。

そんなストレート法のメリットデメリットを挙げていきます。

メリット

  • トータルの発酵時間で考えると短くて済む
  • 香りがいい(賛否両論あります)
  • 食感がいい

くらいでしょうか?書いていて意外に少ないなとびっくりしています。日本はストレート法信者が多く、いまだに一番美味しく作れるのはストレート法だ!!という人が結構いるんです。

デメリット

  • 機械耐性がない(家庭ではそんなに影響ないかも)
  • 最終製品がブレやすい
  • 各工程での見極めの遊び幅が少ない
  • 焼き上げるまで一気にやらないといけない
  • 老化が早い

・・・うーんやっぱりデメリットの方が多い気がしてしまいますね。正直デメリットに香りが短調というのも書こうか迷いました。一番のデメリットとしてはブレやすいというところですね。今日は上手くいったけどこないだはあんまり膨らまなかった。とかこないだの方が焼き色が濃かったとか、こういう結果になりやすいんです。なぜかと言うと発酵という現象は一度走り始めるとどんどん加速して行くんですね。なのでその加速を見極めなければなりませんし、それに追いつく技術がないとどんどん置いてけぼりになってしまうからなんです。よくフランスパンは材料がシンプルな分作るのが難しいと言われますがまさにそれがストレート法で作るからです。見極める遊び幅がない分難しいのです。材料を多く入れて行くとこの遊び幅が広くなっていきます。なのでミックス粉などは失敗しにくいんですね。

中種法

恐らく日本の大手パンメーカーが一番取り入れている製法はこちらではないでしょうか?一度生地を一部作ってから休ませて再度全部混ぜて行くやり方です。なんか聞いているだけだと面倒くさそうですよね・・・ストレート法に比べると面倒くさいです笑

メリット

  • 機械耐性がいい
  • ボリュームが出る
  • 中の目が細かく膜が薄くなる

デメリット

  • 時間がストレート法に比べかかる
  • 余計な工程が増える(仕込みも二回やらないといけないから)
  • 一部の生地を最初に捏ねた後、保管スペース、保管するものが必要

こんな感じです。デメリットに保管場所云々書きましたが、家庭の場合はそんなに影響ないと思います。これは工場とかの多く仕込むところでの話です。何トンもの生地を何処かに保管・・・何に保管・・・考えただけで大変そうですよね。

中種法のいいところは何と言っても機械耐性が良いと言う点が挙げられます。機械耐性と言っても何のこっちゃと思うかも知れません。パンを作って行く工程でパン屋さんだといくつか機械を使う場面が出てきます。例えば生地を分割してくれる機械、丸めてくれる機械、棒状にしてくれる機械、そこに生地が接触すると必ず生地に負荷がかかります。そして耐性がない生地というのは焼いた時に変なところから爆発したり、途中で発酵に耐えきれなくて萎んだりしてしまいます。そういうことがないように生地をしなやかにしてくれる製法です。

オーバーナイト法(低温長時間発酵)

生地を捏ねあげた後、低温(冷蔵庫)にて一晩置く製法。フランスではこの製法が主流になっています。日本でも最近は取り入れているところが急増しています。私が専門学校にいたときは全くと言って良いほど触れられていませんでした。今はどうなんでしょうか?さすがに時代的にも取り入れるべき製法だと思いますが・・・

メリット

  • 老化が遅い(時間が経っても美味しい)
  • 作業をコントロールできるので段取りをつけやすい
  • 焼き立て時間を調整できる
  • 人が寝ている間に生地が勝手に美味しくなる

デメリット

  • クラスト(皮)が厚く重たい食感になる
  • トータル発酵時間がかかるので最後の方で間違えると絶望する
  • 設備費がかかる

オーバーナイト法というのは生地が捏ね上がったらどこかのタイミングで生地を冷蔵させる製法なんですが、この『どこで』というのも非常に重要になってきます。捏ね上がってからちょっと発酵させて冷蔵庫へ移すのか、成形してから冷蔵に移すのかでも最終的な製品は変わってくるのです。これは主に製品の味、食感に関わるこだわりです。捏ね上がってからすぐに冷蔵に入れれば次の日の作業が増えますので気泡が大きくできたり皮を薄くすることができます。

一方で成形まで行ってから冷蔵に移すと次の日の作業は焼くだけ。となると冷蔵庫の中で生地中の気泡はどんどん小さくなり重たいパンになっていくのです。しかし気泡が小さくなって食感が重くなるというのは言い換えれば味が濃くなっているということも言えます。フランスで食べたあのパンは生地の美味しさがはっきりとしていた!なんて経験のある方はまさにこれですね。しかも次の日焼くだけの場合、限度はありますが大体いつ焼いても良いので、焼き立てがコントロールできるというのはかなり大きなメリットになります。

また冷蔵で長時間発酵させるので自家製の酵母種と非常に相性がいいです。イーストではない酵母種というのは大概複数の菌から出来ています。その分奥行きのある複雑な風味を出せるのですがそれを引き出すには長時間熟成させるのが一番なんです。つまり低温長時間発酵と自家製酵母種を組み合わせると、人が寝ている間に勝手に美味しくなると言えるのです。

ポーリッシュ法

予め水と粉を合わせて捏ねておき一定時間経過したら再度捏ねる方法です。中種法と似ていますが決定的に違うところが硬さ。中種法の中種生地はある程度形作れる硬さなんですがポーリッシュはシャバシャバです。

メリット

  • パンの風味が段違いで良くなる(副材料が少ないもののほうがもちろんわかる)
  • 老化が遅い
  • 気泡が大きくなりやすい

デメリット

  • トータル時間がかかる
  • 管理する場所、道具が必要

フランス(起源はポーランドだったかな?)で古典的な製法です。主にシンプルな配合に合わせて使用すると効果抜群です。素材の味をしっかり出したい、風味をよくしたい場合におすすめですが、ちょっと難易度高めなイメージです。(製法というよりシンプルな配合面で)

湯種法(湯種製法)

これ・・・湯種法って言葉使って大丈夫かな?? 商標登録されていた気もするので湯種製法と若干変えましょう笑

小麦粉に熱湯をかけて練り合わせ小麦の甘みと独特のもちもち食感を引き出す製法です。最近結構よく見かけますね。日本人の舌には合っているのだと思います。

メリット

  • 小麦の甘味が引き出せる
  • もちもち食感が得られる
  • 老化が遅い

デメリット

  • 前日に湯を沸かして小麦粉を練るという作業が増える
  • 小麦粉の雑穀臭さが出る(メリットと捉える人もいる)

デメリットの雑穀臭さですが小麦粉自体に特徴のないものならばそんなに気になりません。私がやった時は結構風味が気に成る程出ました・・・

しかしお店の特徴を出したりオリジナルの味を出す時には非常に有効な製法だと思います。この製法を使用したバゲットなんかも人気がありますね。わかりやすく違いを出すならこの製法です。

まとめ

いかがだったでしょうか?

それぞれ先人たちの色々な創意工夫でこれだけ違いあり本当にすごいなと思います。色々試してくださいねと言いたいところですが、私のおすすめの進め方はまず一つやってみたら何回かは同じ製法でとたいすることをお勧めします。でないと身をもって体験することができないからです。それぞれの特徴を語れるのはいいのですがそこに自分の体験がないと経験値にはなりません。一つずつ時間をかけ試してみてください。

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