趣味だと楽しく感じるけど仕事となると胃が痛くなる【新商品開発】の考え方!!店のヒット商品を作るのはアナタです!!

分割・丸目・発酵

新商品開発と聞くとなんだか楽しそうで、色々な自分のアイデアを積め込んで明るい未来がイメージできます!パン作りをする殆どの方は食べるのが好き、匂いが好き、作るのが好きな方だと思いますので自分で新しい物を作るというのは本当に考えるだけで楽しいと思います。しかしながらこれを仕事にするとなると結構大変なんです・・・毎日毎日決まった作業をするわけではないので頭を使い、足を使って流行っている店のパンを食べ歩き、ネットで情報を仕入れ、それを具現化出来、尚且つ他のスタッフでもできるように落とし込まなければなりません。

今日の記事ではそんな新商品を作り出す考え方を私なりにまとめてみます。家でパン作りする人にはもちろん、シェフや開発業務に携わっている人にも何かヒントになれば幸いです。

スポンサーリンク

何をもって新商品なのか?

そもそもなんですが、新商品というのはどういう事でしょうか?四角いメロンパン?フランスパンに焼きそばを挟んだ物?或いはオレンジジュースで仕込む食パン?

誰もが作ったことのないこの世で初めてのパンを作るというのはかなりハードルが高いです。絶対に無理とまでは言いませんがそれに近しいくらい難しいです。

では新商品とはなんなのか?私なりの答えはその人が、その店で作ったことのない味、形、色、大きさを作ったらそれは新商品です。

このように書くとなんだかなんでもいいみたいになってしまいますが極論これだと思います。最近では他の人とは違うオリジナルの酵母を作ってみた!!というのを多く見かけるようになりました。これはとてもいいアプローチで、個人で扱える究極的な新商品開発だと思います。ただしデメリットは独りよがりになってしまう点です。お客様が求めていない可能性が高い・・・もちろん趣味や突き抜けたこだわりの店というのなら全く問題ないですが売れる商品を作る!となると少し話がずれてしまいます。

完全にオリジナルの商品を求めるのも非常に面白いですが、大衆的に受け入れてもらえることを考えると既存の物を変化させる方がニーズにはマッチしています。

今はネットで殆どの材料が手に入るようになりました。Twitterでもこだわりの小麦粉でパンを作る方を多く見かけます。この小麦粉のブレンドの比率はまさに新商品開発です。というか、ことパン作りにおいて究極的な新商品開発をするならば小麦粉と水を拘ればいいんです。だってパン作りは小麦粉100%に対してのレシピで作られ、そのうち半分以上が水ですからね。自分で小麦を栽培し、酵母を作り、水をこだわり抜いて探す。これが最終の行き着くところだと思います。

しかし味の多様化にうるさい日本人はこの究極のパンより違う物を望みます。

私なりの新商品を作る考え方を書いていきます。

原材料からのアプローチ

上記にも書いたとおり、パンもしくは料理でもそうですが突き詰めると材料の質が全てになってきます。当然それを使いこなすスキルは必要になりますが、材料の知識はないとお話になりません。

新商品を考える上で最も簡単なのは材料の組み合わせです。

当然これに関しては誰もが考えることであって今更勿体ぶって言うことではありません。しかし多くの人が出来ないのもまた事実です。生地に何か練り込む、この際に生地の特性を活かさないと練り込む原材料も死んでしまいます。

もしテーマが【和パン】となった場合多くの人は、醤油、抹茶、柚子などからイメージを膨らませて行きます。それらを練り込むだけ、或いは使うだけでも面白いのですがここからさらに一歩踏み込むと新商品としての魅力がグッと大きくなります。例えば柚子を使うなら柚子アンパンにしてフィリングの価値を高める、はたまたバゲットに練り込んで生地の旨味と香りを活かす、それとも柚子本来の美味しさを出し切るために甘味のある菓子パン生地でテーブルロールを作る等、生地によっての活かし方は様々です。

また原材料を押し出すためだけに使わない方法もあります。例えばカンパーニュ生地に蜂蜜を入れる、レーズンを使うパンには黒糖を合わせてみる等、こちらの方法は生地自体の美味しさを高めるための取り合わせです。

これらを複合的に組み合わせることで自分なりのオリジナリティーが出てきます。

形からのアプローチ

形というか成形方法ですね。例えばこれですが

エピです。誰がなんと言おうとエピです笑

これは私が悪ふざけで作った物ですが、形的には気に入ってます。販売はしていませんが・・・

このように既存のある形を少し変えてみるというのは視覚的にかなり効果が発揮されます。こういった商品開発というのは夢の国とかでよく見かけますね。形というのは子供が見ても一発でわかりやすく目を引くからです。ただパンで難しいのは発酵して膨らむということです。成形しているときこれは凄い!!と思ってもいざ焼いてみると目も当てられないものになっていることがよくあります。最近なるほどなーと思ったのはカボチャの形を模した物ですね。これは生地にタコ紐を巻きつけて生地の膨張をうまく利用しカボチャの形にした素晴らしいアイデアだと思いました。

少し変わった形にする他にもサイズの調整をするだけで価値の上がる物もあります。少し前に流行ったキューブ型のパンなんかがいい例ではないでしょうか?日本人は形が小さくてバリエーションのある物を好みがち(私主観)なのでそこをうまく突いた商品です。

パンの世界大会で見るパンは技術的にはもちろんですが形もかなり拘っていますので、興味のある方は探してみると面白いと思います。

ただこの形のアプローチは弱点があって型を使う物ならいいんですが、上の写真のようなものになった場合、人によってかなりばらつきが出ることが難点です。

製法からのアプローチ

同じパンでも製法を変えるだけで全く違うものになります。食パンがいい例ですね。

高級生食パンが世に出始めた時、私はびっくりしました。なぜかというとこれまで教えられてきたことと全く別の手法をとっていたからです。専門学校でも、就職した先でも、本にも、あの高級生食パンの製法(予測ですが)はダメとされていました。理由は、火抜けがしっかりされていないから腰折れが起きてしまう、ということでです。ところが、高級生食パンはそれを逆手にとって水分が抜けていないからしっとりとしていて耳まで柔らかい、トーストしなくても【生】のままでおいしい、という所を全面に押し出して来ました。

もちろん売り方の上手さはありますが何よりも高温で短時間で食パンを焼く(予測です)ということが目から鱗でした。

その他にも湯種製法で作るバゲットや低温超時間発酵(長時間ではなく)のパンなどは製法からのアプローチで新商品を作っていることになります。

冒頭にも書いた自家製酵母もこの製法からのアプローチに入ると思います。まあ材料によるところでもありますが、種を起こすということが一つの製法の強みにもなります。

多くのカリスマパン職人はこの製法からのアプローチをかなり拘ってやっている印象です。食パンにポーリッシュ法を取り入れてみたり、コンベクションオーブンでバゲット焼いてみたり、食パン生地に粉を足してクロワッサン生地にしてみたりと言った感じです。

複合的に考える

大まかに分けると上記の3つから考えていくことになりますが、どれか1つだけで進めるのではなく常に複合的に考えることが重要です。

  1. ベースの生地
  2. 副材料
  3. 製法
  4. 仕上げ

この辺を組み合わせて考えるとイメージしやすいと思います。私が昔やっていたのは単語帳に生地なら生地の種類をどんどん書いていって、それと同じ要領で材料、成形方法のバージョンを別の単語帳に作って、それらを組み合わせるというものでした。

新しい組み合わせがハマったり、思った通りの形に焼き上がると今までの苦労が吹き飛ぶくらいの満足感を得られます。そこがあるからパン作りは楽しく極めようとする人も多いのだと思います。

最後になりますが新商品を考える上で私が最もやってはいけない事というのがありますのでそれをお伝えしたいと思います。

それは・・・

原価を気にして作り始める

これはやめた方がいいです。当然形がある程度できてからは絶対に考えなければいけませんが、最初から原価の事を考えるとその時点で想像力は消えてしまいます。コストカットは大きさや、材料の選定など努力して削っていくものであって、最初から気にしてはいけません。くれぐれも注意して新商品開発に臨んでください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました