初めてパン作り始めてみようと思って色々レシピを調べてみると食パンのレシピなんかには大抵脱脂粉乳が入っています。脱脂粉乳というと昔の学校給食で出て来てとっても美味しくなかった・・・なんて話を聞いたことがあるくらいで実際食したことない人も多いはず。今回の記事ではそんな脱脂粉乳の入れる理由や気をつけるポイントをチェックしていきましょう!
そもそも脱脂粉乳って何?
牛乳から脂肪分を除いた脱脂乳を濃縮乾燥したものです。脂肪分がほとんどないので保存性が良く1年の保存が可能になります。そして価格が安価なのも魅力の一つです。何と比べているかというと全脂粉乳です。
全脂粉乳は牛乳をそのまま乾燥させたもの。脂肪分が26%と多く美味しいんですが保存性が脱脂粉乳に比べ劣るところが欠点でしょうか。あと価格もですね。
この他にも粉乳は色々種類があります。
バターミルク粉乳、ホエー粉、加糖練乳粉など
脱脂粉乳の役割
- パンの栄養価を高め、香り味をよくする
- パンの外皮の色付きをよくする
- パンの内相を改良し柔らかくする
- 生地の安定性を良くし発酵調整に役立つ
この役割をみると良いことづくしですね!
何となく牛乳を乾燥させた粉だから栄養価は高そうだなってイメージはできますが、その他の色がつきやすいとか発酵調整とはいったいどういうことなのか?解説していきます。
メイラード反応
これテストでます!!笑
専門学校でもパンシェルジュ?でしたっけ、でも必ず出てくる、というか料理に携わる人は必ず習う超重要ワードですね。
メイラード反応とはアミノ酸と糖を加熱するとメラノイジンという褐変色素が生まれる反応のことです。
ステーキの焼けた香ばしい焼き色、ご飯のおこげ、焼き立ての美味しそうなパンの色、コーヒー、チョコレート・・・ぜーんぶメイラード反応によるものです。
パンに関しては糖分が焦げて焼き色になってると思う人もいるかもしれませんが、それはカラメル反応と言います。パンの焼き色に関してはメイラード反応によるところがほとんどですので必ず覚えておきましょう。
ちょっと前置きが長くなりましたが脱脂粉乳とメイラード反応はどんな関係があるの?ということです。
脱脂粉乳には乳糖というものが含まれています。糖の一種ですね。糖は酵母の餌になってガスやアルコールを発生させますが、この乳糖というのは酵母が消費できない糖なんです。なのでそのまま生地中に残り続けます。そして残った糖はタンパク質と共にアミノ酸と反応しメイラード反応につながるというわけです。
牛乳100%でパンを作ると独特な焼き色がつくのを経験されてる方も多いと思います。牛乳を粉末に濃縮乾燥させているので(脂肪は除く)脱脂粉乳は少量でも効果が大きいのです。
緩衝作用
はい、これもテストでまーす!
言葉よりも性質を覚えましょう!!PH調整です。
PH(ペーハー)と聞くと小学生の頃のリトマス試験紙を思い出しますが、パン作りではかなり重要です。
どのくらい重要かというとパスタ作りにおける『乳化』くらい重要です!!
パン生地は捏ね上がってから常に発酵が進んでいきます。発酵が進むというのはどんどん酸性に進んでいることなんです。これを中性である脱脂粉乳が食い止めている現象が緩衝作用です。酸性が進むとグルテンが軟化してしまいます。ダレるという言い方をしたりしますね。焼き上がりのパンを見てもお尻があがっていないペタンとした底になっているものはダレているのが原因です。(もちろん酸性の問題だけでなくミキシング不足など他の要因も考えられる)グルテンが軟化するということは家で言う柱がどんどん細くなっていくようなものですから、空間は潰れてしまう危険性大ですね。つまりガスが保持できないということになってしまいます。
生地のP Hはとても重要で今回は脱脂粉乳の話ですが、例えばお酒を吸水の代わりにする、オレンジジュースを使用する場合元々が酸性なので注意する必要があります。そんな時この知識を持っていると失敗を繰り返さず成功できると思いますので覚えておきましょう!
脱脂粉乳使用時の注意点
脱脂粉乳を食パン生地で使用する場合大抵2〜4%添加します。もちろんこれが絶対と言うわけではなく個人的には6%くらいが美味しいと感じますがそこは好みになってきます。
また脱脂粉乳を加える場合は水分量を増やすのが鉄則です。最初から脱脂粉乳が入ったレシピを使用するなら良いですが、別で添加しようとする場合脱脂粉乳1%につき吸水量も1%上げてください。
脱脂粉乳を多く入れすぎるとグルテン膜が厚くなり口溶けの悪い重めの食感になるので注意しましょう。
計量する時に脱脂粉乳は放置しておくと水分を含んでダマになってしまいます。しかもこのダマはいくらミキシングしても最後まで残ってしまい最悪です。必ず計量したら密閉する、他の材料とは合わせない、これを徹底しましょう。学校では砂糖と脱脂粉乳を合わせておきましょうと習いますが、それもやめた方が良いです。ダマになります。笑
脱脂粉乳を入れないと焼いた時のボリュームがうまく出ません。(酸性に進むから)
脱脂粉乳を入れすぎると焼いた時のボリュームがうまく出ません。(膜が厚すぎて伸びれないから)
どんなことでも極端だとダメということですね!
適度に使用して美味しいパン作りを目指しましょう!!
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