パン屋を開業したい人必見!!夜勤なんてやりたくない!?じぶんの時間をしっかり確保しよう!!

製法
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今回の記事ではこれから独立を目指す人の為に少しでも自分の時間を増やせるように、自身の人生を楽しく出来るようアドバイスします。パン屋だから16時間労働、18時間労働は当たり前でしょ?と言う今までの悪しき風潮に一石を投じます!!

もし私が今独立をしたら出勤時間はお店のオープンの1時間半前か2時間前にします。それでほとんどのパンを揃える事ができますからね。働く時間も10時間以内には収めたいです。それでは柔軟な考え方を持って新しいやり方をどんどん吸収していきましょう!

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結論

低温長時間発酵を利用しましょう!!

いわゆるオーバーナイト法というやつですね。

初めて聞く人もいるかも知れませんので簡単におさらいしましょう。

低温長時間発酵とはミキシングが終わった後のどこかの工程で生地を5℃から7℃くらいの冷蔵状態にいれ12時間から20時間寝かせる製法の事を言います。

メリットとしては水和が進む(商品の劣化が遅くなる)、オペレーションをある程度自由に組む事が出来るようになる。

デメリットとしては冷蔵にする際の場所が必要。

そしてこの製法で作ったパンの特徴ですが、クラストが厚くなる(皮のことです)クラムが詰まる(ストレート法と比べて。中身のことです)と言う事が挙げられます。

この特徴もどの工程で冷蔵に移すかで多少影響が変わってきます。

例えば、ミキシング終了後に冷蔵に入れて次の日続きの工程を行う場合、ストレート法により近い特徴が現れます。逆に成形まで行ってから冷蔵に入れ、次の日焼くだけと言う場合、上記の特徴が顕著に現れます。

クラムが詰まると書きましたが、この特徴はわかりやすく言い換えるともちもちの食感になると考えてください。要は冷蔵で長く発酵をとると中の気泡がどんどん小さくなり詰まると言う表現になります。

誤解しないで欲しいのがこの詰まると言う現象は必ずしも悪いことではないと言うことです。私が学生時代は詰まると言う表現は完全に悪でしたけど。笑  なぜなら詰まっていると言う事はその分味を強く感じると言う事だからです。良し悪しではなく自分がどういうパンを作りたいか?この意識がとても重要です。

なぜパン屋は重労働、ブラックのイメージがあるのか?

少し歴史を振り返ってみましょう。

私達日本人のパンの歴史は浅く初めてパンというものが来たのが1543年、ポルトガル船によって種子島に来ました。フランスパンは1865年にフランス人が教えたという記述が残っています。そして1945年に戦争が終わると食料事情が悪くなり、アメリカから小麦などの援助を受けパン作りが活発化していきます。

また1869年創業の木村屋総本店が翌年1870年にアンパンの開発をし、その後明治天皇に気に入られてから一気に全国に菓子パンというものが広がっていきました。

日本人というのは手先が器用な人種なのでそれまで中国から伝えられた饅頭に始まる包餡技術というのに抵抗なくすんなりと広がったと思われます。

そしてここからが重要な事ですが日本にパンの技術が伝えられる時、教えられる製法は『ストレート法』でした。1946年から学校給食でパンが出されるようになったという事を考えると、どんな風に生活の中に溶け込んでいったのかがわかります。

フワフワで、柔らかくて、子供が食べやすいサイズで、甘くて、それ単体で栄養が取れるような・・・

と言ったキーワードですね。まさに菓子パン!

アンパン、メロンパン、クリームパン、チョココロネ等、小さい時から馴染みのあるものばかりです。

ただ生地を作って焼くだけでなく、中に何か入れる(包み込む)、生地の形にこだわるものが非常に多いですね。

手間暇かけて作ってるんです!!

しかも

安いんです!!

これを美学とする考え方がブラックなイメージの根源だと私は考えています。つまり日本のパン職人というのは高い技術を持ちながらそれを安価で売るボランティア精神の塊です。しかも手作業という響きにみんなこだわりを持ちます。もちろん機械ではできない繊細な仕事もあると思いますが、パン作りにおいて手作業でしかできない事って一体なんでしょうか?ほとんどないんですよね・・ぱっと思いつくのが動物パンくらいでしょうか・・?笑

大手パンメーカーは機械化が進みコンビニやスーパーで安価で売られています。この価格と同じように個人店が合わせるのがそもそもの間違いなんです。価格では絶対に勝てないところに標準が合わさってしまっている。多くの国民はパンの標準価格をコンビニやスーパーで売られているものに合わせています。いやむしろ合わせられているが正しい言い方でしょうか?

最近は高級ベーカリーと言われるようなパン屋も多く出てきました。とてもいい事だと思います。ブランドを作り、こだわりの製法、材料を謳って今までの価格のワンランク上で勝負しています。実際高級でもなんでもなく妥当な価格だと私は思いますが、まだまだ世間の認知ではそうもいきません。これからパン屋をやっていくにはただ経験を生かしてやるのではなく、しっかりと考え、付加価値をつけて販売しないと一向に環境は良くなりません。ただひたすら入社した1軒のパン屋でしかやっていない人はこんな人もいるのではないでしょうか?

「焼き立てを何回も出すのってお客様は喜ぶけど、ウチら大変なんだよなー・・」とか

「フランスパンって朝早くから来て仕込んでるのに売れ行きが悪いから、無くしたいなー」とか・・・

それだったら!!!!

簡単に焼き立てを何回も出す方法を考えてみましょうよ!!効率のいい売れるフランスパンを作りましょうよ!それが出来るのが低温長時間発酵です。

自分が寝ている間にパンが勝手に美味しくなっていくんです。焼き立てが自由に出せるんです。急に雨が降ってきたら無理に焼いてロス出さなくて良いんです。

私が独立するなら絶対に低温長時間発酵の製法を取り入れます!!

いかに効率よく、いかに生産性を上げるか!いろんな意見があると思いますが私はこれを一番大切にしています!

この精神はドイツでのパン屋さん、フランスでのパン屋さんをみて非常に勉強になりました。先程書いたようにパンというものは非常に安価で販売されています。それは世界各国そうです。しかしながら日本と違い働く環境はブラックではありません。(重労働ではありますが)なぜなら他国では残業なんて一切やりません。

もし私が「この量だと終わらないから残ってやるよ」と言ったら「なんで残業するの?」と逆に聞き返されてしまいます。そういう風習と言うのかな、文化がないんですね。だから徹底的な効率化が図られてますし手間がかかるものはしっかりと値段とってます。サンドイッチなんか結構良い値段しますからね。

町のみんなから愛されて自分がやっていけるだけのお金と時間があれば良いのならそれでも良いでしょうが、私は自分が幸せになる為にある程度の時間もお金も欲しいです。なので日本人特有の手をかけた分だけ美味しくなるとか、全て手作りでやってます。みたいな風潮はあまり好きになれないのです。

アイデア次第でどうにでもなる

もう一つ日本のパンと言ったらやはりコッペパンですよね!

何年か前にブームになりました。もともと小さい時から食べなれているコッペパンに自分の好きな具材を挟んでもらって食べる。これはめちゃくちゃ理にかなってますよね。日本人は選ぶ事が大好きです。迷うのが好きなんですかね?アイスにしろおにぎりにしろ、果てはユニクロのカラーバリエーションもその一つだと思っています。コッペパンというのは日本人の中でおにぎりと同じ位置づけにあるので親しみやすい!それでいて目の前でサンドしてくれるライブ感!そしてその手間は・・・?こんな事を書くとコッペパン屋さんから怒られてしまいそうですが、普通のパン屋の手間のかかり方と比べると圧倒的に楽です。だって全部同じ工程なんですもの。

また近年ブームの高級食パン店。これも売り方がめちゃくちゃうまい!日本人大好きのフワもち食感にほんのり甘い生地。大正義ですね!手間はかかってますかね?どうですか?こういうところをパン屋と比べてみましょう。

高級食パン私も作った事があるんですがあの価格は妥当なんですよね、意外にも。そしてビックリするのが高級食パンの火付け役と言ったら○○○さんですが、社長さんはパンの経験ない方だって聞きました。どうりで合理的なわけですね。言い方悪いですが素人でも作れるものを作るってことが凄いです。

こんな風に周りを見てみるとしっかり効率化を計りつつブランディング出来ているパン屋さんはたくさんあります。どれも日本人の舌、趣向に合わせて作られているのが特徴ですかね。一応断りを入れておきますが好き嫌いはまた別の話です。生地の仕込む本数を減らしていかにバラエティ化をさせるか、またはこれだと決めた1つの商品でどこまで走れるか?この2つの例は極端な話ですが突き詰めていくとこういう事です。

どんな風に技術を習得するか

こればっかりは専門店に行くのをお勧めします。良いことしかないように思える低温長時間発酵ですが、製法を理論的に覚え技術を習得するのは結構難しいと思います。なぜかというと今まで教わったことと真逆のことも出てくるからです。

違う記事で詳しくやりますが、フランスパンを低温長時間発酵で成形冷蔵まで持っていく場合、ミキシングはかなり強くかけます。もし一般的に良しとされているミキシング(5、6分かな)だと全く足りません。このブログでそのロジックは説明できますが、体感してもらわないことにはただの頭でっかちで終わってしまいます。

もしこの製法に興味を持ち、独立した時にやってみたい、または自分のレベルアップで習得したいと思った方はそれこそ修行に行きましょう。師匠に恵まれるかは運の要素もありますが、確実にレベルアップ出来ます。

YouTubeで見かける『ほったらかしパン』というのもこの低温長時間発酵のことですね。ただあのやり方だと不完全なので毎回同じクオリティで作るのは難しいと思います。温度と時間の管理が超重要です!!

まとめ

パン屋はいろんな事を我慢して我慢して自己犠牲の上に成り立つという時代は終わりました。厳しい職人の世界にも良いことはもちろんありますが、無駄なことは即刻やめるべきだと私は考えます。もしこれから独立を考えている人で少しでも自分の時間との両立を図りたい人、うまく効率化を図りたい人、美味しいパンを作りたい人は学ぶべき製法だと思います。もちろんですが家庭のパン作りでも使える製法です。誰も損のしない低温長時間発酵、皆さんも一度試してみませんか??

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